「童貞ですよね?」は炎上するほどの発言? | テレビ朝日「あざとくて何が悪いの?」
最近、バラエティ番組での発言がSNSで切り抜かれ、その一部分だけで炎上する流れがかなり増えています。
今回炎上した『あざとくて何が悪いの?』も、まさにその典型だったように感じました。問題になったのは、番組内で元乃木坂46の松村沙友理さんが、JO1の河野純喜さんに対して「たぶん童貞ですよね?」と発言した場面です。
予告動画の時点でSNSでは、「セクハラではないか」「男女逆なら炎上する」「気持ち悪い」とかなり強い批判が出ていました。ただ、実際に放送全体を見ると、自分はそこまで大問題として扱うほどの内容だったのか?という印象のほうが強く残りました。
前提としてバラエティ向きの文脈であった
今回のやり取りは、突然性的な話題をぶつけたわけではありません。番組自体が“あざとさ”や恋愛観をテーマにしたトークバラエティですし、その流れの中で、女性のボディラインが見える服装の話になり、そこから河野さんが「ニットボディライン見せ系が好き」と発言しました。
その空気感の延長で、松村さんが勢いで「たぶん童貞ですよね?」と返した。しかも本人も言った瞬間に笑いながら謝っていて、河野さん側も立ち上がってツッコみ返し、スタジオ全体としては完全に“バラエティの流れ”として成立していました。少なくとも、悪意を持って相手を傷つけようとしている空気ではなかったと思います。
バラエティから雑談が消えていくのではないか?
今回の件を見ていて少し思ったのは、こういう空気が強くなると、バラエティから雑談が消えていくのではないか、ということです。
バラエティは、本来は多少くだらないことや、勢いで出た失言ギリギリのやり取りも含めて成立していたジャンルです。もちろん、明確な差別や悪意は別ですが、「今のちょっと危なかったな」くらいの会話まで全部排除していくと、かなり無機質になっていく気がします。
しかも今回、松村さん自身も「人生で初めて言った」と笑いながら焦っていましたし、周囲も含めてその場のノリとして転がしていました。そこまで含めて、「これはバラエティの範囲内では?」と感じた人が多かったのも自然だと思います。
予告切り抜きだけで燃えすぎたのでは?
今回かなり大きかったのは、予告動画の切り抜きです。「童貞ですよね?」という部分だけを単独で見ると、確かに刺激は強いです。ただ、実際の放送を見ると、前後の流れやスタジオの空気感込みで成立していた部分はかなり大きいと感じました。
最近のSNSは、文脈より単語単位で反応する傾向が強くなっています。特に「セクハラ」「差別」といったキーワードは、一部分だけが切り取られると、一気に断定的な議論になりやすい。もちろん、不快に感じた人がいること自体は否定できません。
ただ、自分は今回の件については、「放送全体を見たうえで判断されていたのか?」という違和感もかなりありました。
「男女逆なら」という意見について

今回かなり多かったのが、「逆に男性が女性アイドルに“処女ですか?”と言ったら炎上する」という意見です。これは、感覚として理解できます。
ただ、自分は、この「男女逆なら」という比較だけで全部を同列に扱うのも少し違う気がしています。なぜなら、言葉は同じでも、場の空気や関係性、文脈によって受け取り方はかなり変わるからです。
たとえば今回も、もし本当に相手が嫌がっていたり、空気が凍っていたら、ここまで「笑い」として成立していなかったと思います。逆に言えば、成立していたからこそ、そこまで深刻な問題として見えなかった人も多かったのではないでしょうか。
もちろん、「だから何を言ってもいい」という話ではありません。ただ、最近は“言葉単体”だけでアウト判定される空気が強すぎる気もします。
何でも加害として扱いすぎる危うさ
最近特に感じるのは、「誰かが少しでも不快なら即アウト」という空気の強さです。もちろん、人を傷つける発言を軽視してはいけません。ただ、その一方で、笑いとして成立していたものまで全部同じ温度で断罪してしまうと、今度は表現側が極端に萎縮していきます。
今回の件は、個人的には「本気のセクハラ問題」というより、「バラエティの軽口をどこまで許容するか」という話に近いのではないかと考えます。