暴露ノリはもうテレビで成立しないのか | テレビ朝日「あのちゃんねる」

バラエティ番組では昔から、悪口、暴露、ぶっちゃけ話のような企画が使われてきました。出演者同士の関係性を少し乱し、本音らしきものを引き出すことで、視聴者に驚きや笑いを届ける。そうした演出は、長くテレビの定番でもありました。

今回話題になったのは、5月18日放送のあのちゃんねる内で、タレントのあのさんが、別番組で共演した鈴木紗理奈さんについて嫌いと発言した場面です。その後、あのさん本人がXで番組への不信感を示し、降板を宣言。最終的にテレビ朝日が番組終了を発表する流れになりました。

この騒動を見て感じるのは、暴露ノリそのものが急に悪くなったというより、今のSNS環境とテレビの演出がかなり相性を悪くしているのではないか、ということです。

そもそもテレビは昔から暴露や悪口で笑いを作ってきた

前提として、今回のような暴露や悪口の演出は、昔からテレビにありました。

誰が苦手だったのか。現場で誰に腹が立ったのか。過去にどんなトラブルがあったのか

こうした話は、トーク番組や深夜バラエティでは定番でした。視聴者も、ある程度は番組上のノリとして受け止めてきた部分があります。

もちろん、昔の演出がすべて正しかったわけではありません。ただ、バラエティにおける暴露ノリは、もともと人間関係の少し危うい部分を見せることで成り立っていたのも事実です。

その意味では、今回だけを特別に問題視しすぎるのも少し違う気がします。今の視聴者は、悪口や本音めいた発言に対して、以前よりかなり過敏に反応するようになっています。

暴露ノリは、切り抜かれると一気に意味が変わる

今回のような発言は、番組全体の流れで見るのと、SNSで一部分だけ見るのとでは印象が変わります。番組内では、企画の流れや前後の空気、編集のテンポ、出演者の表情などが含まれています。視聴者も、ある程度はバラエティとして見ています。

しかしSNSでは、嫌いと言った部分だけが切り取られます。そうなると、そこにあったはずの空気感は消え、発言だけが強く残ります。その結果、暴露ノリは一気に攻撃的に見えます。番組側が面白さとして設計したものでも、切り抜かれた瞬間に、単なる悪口や人格攻撃として広がってしまうのです。ここが、今のテレビバラエティの難しさだと思います。

SNSで“言われた側”もすぐ反応できるようになった問題

今回のような騒動が大きくなる背景には、SNSの存在があります。

昔であれば、番組内で誰かの名前が出ても、言われた側がすぐに反応する場は限られていました。反論するにしても、別番組や雑誌、事務所コメントなどを通じて行う必要があり、時間差がありました。

しかし今は違います。本人がXやInstagramですぐにお気持ちを表明できます。言われた側だけでなく、ファンもすぐに反応し、番組批判や出演者批判へと広がっていきます。これは、当事者の声が見えやすくなったという意味では良い変化です。

一方で、テレビの中では軽いノリだったものが、放送後すぐに“本当の人間関係の問題”として扱われてしまう危うさもあります。つまり、番組内の演出として処理されていたものが、SNSによって現実の感情問題に引き戻されるようになったのです。

バラエティは“内輪のノリ”だけでは済まなくなった

昔のテレビでは、制作側と出演者のあいだで成立していた空気が、そのまま視聴者にも届いていました。しかし今は、放送後にSNSで分解され、検証され、拡散されます。つまり、番組内のノリだけでは済まなくなりました。

制作側は、放送時の面白さだけでなく、切り抜かれたときにどう見えるか、言われた側がどう反応するか、ファンがどう受け止めるかまで想定しなければいけません。それは少し窮屈ですが、今の時代にテレビが避けられない変化でもあります。

バラエティならではのノリをどう変化させていくのか?

今回のあのちゃんねる騒動から見えるのは、暴露ノリが完全に時代遅れになったということではありません。むしろ、昔からあったテレビの演出が、SNS時代にそのまま通用しにくくなったということです。

今は少し過敏に反応されすぎている面もあると思います。悪口や暴露をすべて問題視してしまえば、バラエティはかなりつまらなくなります。

ただし、SNSによって言われた側がすぐに反応できる以上、これまでのように番組内だけで処理することも難しくなりました。

だからこそ、今後必要なのは、暴露をなくすことではなく、暴露をどう扱うかの見直しです。危うさを残しながら、相手をただ傷つけるだけにならないようにする。その線引きができるかどうかが、これからのバラエティに問われているのだと思います。

著者:編集部