セクハラは「カットすれば終わり」なの?【相席食堂】 | ABCテレビ「」
バラエティ番組で起きた出来事が、あとから配信でカットされることはあります。ただ、今回の相席食堂の件を見ていて思ったのは、カットしたから終わりとは言えないのではないか、ということです。
問題だったのは、現場で起きた行為そのものだけではなく、それを番組がどう扱い、どう見せたかにあると感じました。
「相席食堂」で起きた炎上
4月7日放送の相席食堂では、ロケ出演者が京都のうなぎ店を訪れ、店で串打ち体験をする流れがありました。そこに偶然、プライベートで来店していた女性声優2人が居合わせ、一緒に体験することに。
その体験中、店主の男性が女性声優の腰付近に後ろから手を伸ばし、軽く触れるような場面があったのです。
放送では、その場面をそのまま流しただけでなく、スタジオ側が反応し、映像を止めて繰り返し扱う構成。その後、SNSでは、これは笑いとして流してよい内容なのか、セクハラを面白がっているように見えるのではないかという批判が広がりました。
番組側は謝罪し、TVerでは該当シーンがカットされました。
引っかかったのは、現場より編集

今回の件でいちばん引っかかったのは、現場で何が起きたか以上に、それをどう編集したのかです。
現場では、とっさのことで出演者も強く言えなかったかもしれませんし、店側にも悪意はなかったのかもしれません。実際、店側は服が汚れないようにエプロンのあたりを触ったという説明をしていました。
ただ、それで視聴者の違和感がなくなるかというと、そこは別問題です。
なぜなら、偶然起きたことをそのまま放送するかどうかは、制作側が決めているからです。しかも今回は、ただ流しただけではなく、止めて、拾って、笑いの流れの中に乗せていました。
そこまでやると、もう単なる記録ではなく、番組として面白いものとして提示したことになります。
カット対応は必要だったが、それで終わりではない
TVerで該当シーンをカットしたこと自体は、対応としては当然だったと思います。ただ、同時に、そこで終わりにしてはいけないとも感じます。
後から消すということは、少なくとも問題があったと判断したということです。であれば、本当に考えるべきなのは、なぜ最初の放送でその判断ができなかったのかという点です。そこを見直さないままでは、同じようなことはまた起きるはずです。
つまり、今回の問題は、放送後の処理の話ではなく、放送前の感覚や判断基準の話ではないでしょうか。
バラエティのノリで済ませていい時代ではない
今回の件を見て、バラエティの現場で通じるノリと、放送されたものとして視聴者が受け取る感覚には、かなり差があると改めて感じました。
現場では、その場の空気や関係性で流れていくことがあります。出演者も、取材先も、スタッフも、深く立ち止まらずに進んでしまうことはあると思います。
ただ、テレビで流す時点で、それはもうその場だけの話ではありません。多くの人に向けて、番組としてこれを見せますと判断したことになります。
だからこそ、現場の空気で済ませず、放送物として耐えられるかどうかで見ないといけないのではないでしょうか。
見直すべきなのは、問題が起きた後の処理ではなく、面白さの基準
今回の件を見て、セクハラにあたる可能性のある場面を、あとからカットすれば済むという考え方では足りないと感じます。
見直すべきなのは、問題が起きた後にどう消すかではなく、そもそも何を面白いと判断するのかという基準です。
偶然起きた不快な出来事を、笑いに変えてよいのか。相手が戸惑っているかもしれない場面を、繰り返して見せてよいのか。
そういう基準が曖昧なままだと、編集でいくら調整しても根本は変わりません。